この連載は、フランスの「プジョーモトシクル」、そして同ブランドを取り扱うADIVA(アディバ)のヒストリーを掘り起こし、興味深いエピソードを皆様にご紹介するものです。今回は1990年代、欧州の若者たちに愛された、プジョー製スクーターをご紹介いたします!
ライバルに対抗して生まれた作品!
プジョーが1980年代に、ST/SCシリーズを皮切りに本格的なスクーター作りに復帰したことは、過去の当連載でご紹介いたしました。
そして1992年、約10年販売されたST/SCシリーズの製造をプジョーは停止します。そして時代に合わせアップデートした新シリーズ・・・SV、ゼニス、バクシーなどを新たにラインアップに加えました。
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125ccクラス向けに、1990年にデビューした プジョーSV(写真は1996年型)。 |
そんな当時、ライバルメーカーであるMBK&ヤマハから、当時の欧州スクーターシーンに旋風を巻き起こすモデルが登場しました! それは1980年代にヤマハから発売された50ccスクーター、「BW’s (ビーウィズ)」をベースとするMBKブースターでした!
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1992年型MBKブースター50。 |
ぶっちゃけ、BW’sは日本の”尖ったモノ好き”にはウケましたが、日本国内市場ではそれほどヒットしませんでした。しかし、ヤマハが買収したMBKブランドからフランス市場に供給されたブースターは、オフロードバイク的なブロックパターンのファットタイヤからなるスタイリングの斬新さが若者を中心に大ウケし、一躍ヒットモデルとなったのです!
スクアブという名は、フランス人には馴染み深いものです
そんな人気モデルのMBKブースターに対抗して、プジョーが1995年にリリースしたのが「スクアブ」です。

ちなみにスクアブとは、フランス語で「雛鳩」のことです。日本では鳩を食用することは一般的ではありませんが、フランス料理好きなら常識でしょうがフランスでは「スクアブ」料理がポピュラーですね(いわゆるドバトではなく、食用の鳩を使います)。
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フロントフェンダーがくちばし、そして二眼のヘッドライト がお目々みたいで、確かに雛鳩っぽいルックスですね。 |
奇をてらうことなく、MBKブースターを範とした”ビッグホイール・スタイル”を取り入れたスクアブは、先行車同様にフランスをはじめとするヨーロッパの若者たちに人気のモデルとなりました。
その後もプジョーは、MBKのほかピアッジオなどのスクーターメーカーのライバルたちと欧州市場を中心に切磋琢磨することになるのですが、互いに刺激し合うライバル関係こそが新しい優れた製品を生み出す原動力になることは確かでしょう。