先日、バイクのデザインを語るときに避けては通れない、2人のデザイナーの話を書きました。
バイクデザインの父
その中でご紹介したのが、近代バイクデザインの父と言える偉大なるイタリア人デザイナー、マッシモ・タンブリーニです。
タンブリーニは、1973年に出身地であるリミニでバイクのフレームビルダー「ビモータ」を立ち上げました。
日本メーカーの高性能なエンジンを、独自に設計したフレームに搭載したビモータのマシンは、そのオリジナリティ溢れる美しさで最高峰のプレミアムスポーツバイクとして世界中で絶賛されたのです。
その後タンブリーニは、自身が創設したビモータを離れカジバ社へ移籍。ドゥカティ916(1994年)やMVアグスタ F4(1998年)など、その後のバイクデザインに多大な影響を与える名車たちを世に送り出しました。
メーカーやブランドという枠にとらわれず、自らの理想を追求し続けるタンブリーニの姿勢は、イタリアのみならず世界中のバイクデザイナーに影響を与えました。
しかしタンブリーニは、2014年4月に惜しまれながらこの世を去ります。享年70歳でした。
星を継ぐもの、CZ
タンブリーニが興したビモータでその才能を開花させた、タンブリーニと同じリミニ出身のデザイナーがいます。
自らが代表を務めるデザインオフィス「 CZ Design Studio」の、Claudio Zanchini(クラウディオ・ザンキーニ)です。
ザンキーニは1996年からビモータのデザインに携わり、特に近年では、ビモータの代表作と言える重要なモデルを手がけています。
一部をご紹介すると……
bimota HB4(2010)
ビモータ・オリジナルシャーシにホンダCBR600RRのエンジンを搭載した、ロードレース世界選手権 Moto2 参戦マシン。
2000年のスーパーバイク世界選手権以来となる、ビモータの最高峰クラスへの復帰は、レースファンの間でも大きな話題になりました。
bimota IMPETO(2015)
ビモータでは少数派のネイキッドモデル。クロモリ楕円パイプとアルミ削り出しプレートを組み合わせた美しいフレームに、ドゥカティ製1,200ccエンジンを搭載しています。スーパーチャージャーを追加装備したスペシャルモデルも存在します。
そして、あのモデルも!
2019年のEICMA(イタリア・ミラノショー)において大きな注目を集めた、一台のビモータがありました。
川崎重工グループの技術を結集して造られたフラッグシップマシン「カワサキ Ninja H2」のエンジンを搭載した、「bimota TESI H2」です。
現行スポーツバイクの中で最もエキサイティングなエンジンの一つである、カワサキ製 1,000ccスーパーチャージドエンジンを、ビモータ伝統のハブセンターステアリングによる足回りとを組み合わせた、オリジナリティの塊と言えるモデルです。
このbimota TESI H2も、ザンキーニの作品です。
TESI H2のアンベールが行われたEICMAのビモータブースには、大きな仕事を成し遂げ誇らしげなビモータ・スタッフとザンキーニの姿がありました。
ザンキーニ、もう一つの作品
bimota HB4のようなレーシングマシン、IMPETOのようなストリートネイキッド、そしてTESI H2のような唯一無二のスペシャルマシンと、バラエティに富んだバイクデザインを手がけるザンキーニですが、近年の彼の作品にはもう一台の特別なバイクがあります。
aidea AAカーゴ
そう、アイディアの最新モデル「aidea AAカーゴ」もザンキーニによるデザイン。
3輪で電動の商業向けスクーターという、ビモータとは全く異なるカテゴリーではありますが、ザンキーニは見事なスタイルに仕上げました。
優れた機能と美しいデザインをコンパクトなパッケージにまとめたAAカーゴは、日本でも高い評価を受け、2018年グッドデザイン賞を受賞しています(OEM車両 アディバ ADカーゴとして受賞)。
イタリアンデザインをまとった、環境にも社会にも優しい電動バイク、AAカーゴが街中で見られる日はもうすぐ。
AAカーゴの詳細は、こちらをご覧ください!